S.M
部署 東京総合事務所 プロジェクトマネジメント2部
卒業 創造理工学研究科 入社 2015年新卒入社
仕事内容

現在担当している業務は、緑道に流れている人工の小川(せせらぎ)に関する設計です。下水道とは関係ないように感じますが、せせらぎの水は、近くのA処理場の高度処理水を使用しています。A処理場は、近い将来、他の処理場と統合される予定であるため、せせらぎで使用している高度処理水が無くなってしまうという課題があります。せせらぎは、コイや水鳥などが生息し、市民の憩いの場となっているため、廃止することはできません。そこで、せせらぎの下流から上流へ水を循環させて、せせらぎを存続させる計画になりました。本業務は、循環施設の基本設計、詳細設計業務です。基本設計では、循環施設の場所や形式など様々なケースについて、施工性、維持管理性、経済性の検討を行い、設計方針を決定します。詳細設計は基本設計で決めた設計方針をもとに、構造計算や、土留めの計算等を行い、図面や数量計算書を作成し、お客様である市が建設業者へ工事発注できる資料を作成します。
仕事のやりがい

昨年出産し、現在は時短勤務で働いています。4月に復帰してから、あまり時間が経っていないこともあり、家庭と仕事の両立が中々大変です。コロナ禍で在宅勤務が普及していたことと周囲の配慮もあり、何とかやっていけています。正直復帰するまでは、不安で復帰したくないという思いが強かったですが、仕事を始めると、産休前にお世話になったお客様に「出産お疲れ様、またよろしくお願いします」と言ってもらえて、仕事を続けてよかったと思います。当たり前のことですが、お客様から感謝の言葉を頂いたり、協議がうまくいったりしたときは、うれしいです。資料作成の際に、工夫をした点にお客様が気づいてくれると心の中でガッツポーズです。
社会貢献

が就職してから、災害復旧業務がいくつかありました。台風の罹災が主でしたが、下水道施設が機能しないと住民生活に多大な影響があることを感じました。私が現場調査に行った処理場は、海の近くにある処理場で、台風による高波によって、水処理施設の手すりや、覆蓋が流されていました。水処理機能には影響はなかったものの、通常の維持管理を行うには危険な状態であると感じました。(蓋や手すりがないと、作業中に転落するおそれがあるため)市の担当者から、迅速に対応してくれてありがとうと言われたときは、仕事を通じて社会貢献につながっていると感じました。
様々なシミュレーションを
検討し成功したプロジェクト

A処理場とB処理場からC処理場へ処理前の下水を流入させるという業務がありました。すでにA処理場からC処理場への流入は始まっていましたが、B処理場からの流入を開始するにあたり、それぞれの処理場の流入水量、運転条件からシミュレーションを行いました。土木的な知識だけでなく、それぞれの処理場に設置されている機械の能力などによって、条件が変わるので、機械の担当者に色々と相談しながら(相談しながらというより教えてもらいながら)、業務を進めました。様々なシミュレーションを検討し、最終的に無事に送水が開始されたと担当者様から連絡があったときはうれしかったです。
学生時代の学び

上下水道の設計業務は、土木工学科の必修科目のほとんど全てを網羅しているのではないかと思います。衛生工学や水理学はもちろんですが、構造力学、土質力学の知識も必要です。今回の循環施設の設計では、地下に水槽を設置する予定であるため、土留め方法の検討する際などに土質力学の知識が必要です。また循環施設の構造を決めるにも、構造力学の知識を用いて検討します。学生時代は、どの科目も得意ではなかったので、就職後、先輩や協力会社の方に教えてもらいながら、参考書を購入し、勉強しました。土木工学は経験工学といわれるだけあって、どの案件も異なるため、仕事を通して勉強していくことが多いと思います。
上司からの声

昨年は、最難関である技術士試験(上下水道部門)に見事合格し偉業を成し遂げたのですが、産休と育児休暇で1年半ほどのブランクが空いてしまいました。しかし、復帰後、このブランクをものともせずにこれまでに培われた技術や経験は決して衰えることなく、業務をスムーズに進めてもらうことができたのでかなり驚かせられました。また、育児と仕事の両立という面については、社内の「働き方」が大きく改善されたことによって、育児と仕事を両立できる環境が飛躍的に向上したことや、社内にはこれらを両立させている偉大な先輩社員方々がいらっしゃいますので、これをお手本として、自分自身のペースを保ちながらこの仕事を長く続けて頂きたいと思います。今後は育児との両立となりますが、「下水道エンジニア」と「子育て」のエキスパートを目指して頂けるよう応援し続けてゆきたいと思います。