トピックス  No.11 07/12/03  

覆面座談会(第四弾):カーボンファイナンスと上下水道経営(その2)

2007年09月07日 金曜日 15:30~16:30
  出席者:経営工学研究所、経営企画本部、東部支社から ■、●、▲、○、△、◆

 上下水道施設の投資効率を上げ、官民協働による低コスト経営を行うためには、地球温暖化対策など大きな枠からの発想による部局横断の取組みと自治体の枠をまたぐ広域的な連携が必要です。二回目となる今回は、カーボンファイナンスを下水道事業に導入する可能性や方法について意見交換をしました。

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日本上下水道設計(株)


■下水道事業における排出権獲得の方法は

◆先日、T社から提案があって、社内で炭化炉に関する技術説明会を開きました。そのときの話では、下水汚泥を対象とする炭化物は販売が難しいということで、これは中途半端に発生物が少ないことによるらしい。石炭火力発電所が近くにあれば売れるのだが、とも。マーケティングは製品の質×量で決まるため、量がまとまらないことには商売が成り立たない、という話でした。

■下水汚泥は、普通の廃棄物と比べて性状が安定していることが特徴なので、下水汚泥からできる炭化物の質はいいんじゃないですか。

◆いい時は確かにいいんですが、常時いいとは限らない。特に合流式下水道の場合、雨天時は汚泥の性状が安定しないしカロリーも少ない。また、製品の炭化物は放っておくと自然発火するので、取扱いに注意が必要だ。要するに低質の活性炭のようなものができるわけで、活性炭としての利用も考えられるけれど、こちらも質的には少々中途半端なところがあります。

■下水道でカーボンファイナンスを導入する方法には、汚泥の炭化もあるが、メタンを燃やしてCO2にしたり、脱水汚泥を焼却せずにセメント工場に持っていってセメント原料に使ってもらう方法など色々なものがあります。そのどれを選択するかは、コストだけじゃなく技術開発の進み具合や市場流通性など色々考え合わせなければならないので、なかなか難しそうだ。

○汚泥の処分費が高騰した時に、色々な技術開発が進められてきた経緯があり、技術的には蓄積ができています。今のところ温暖化対策で追い風は吹いているといえるでしょうね。

▲CDM事業で獲得できる排出権を実際に取り引きするには、そのCDM事業について指定認証機関(DOE)で認証審査を受け、CDM理事会名で国際的に登録されなければなりません。国内では、経済産業省が窓口となって政府承認をしたあとにDOEに提出される流れとなっています。ですので、自治体が国内版CDMを下水道事業でやろうとすれば、所管の国土交通省を通じて経済産業省に申請し、承認をしてもらうことがまず必要です。

■CDM事業のフィージビリティスタディは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構。経済産業省所管の独立行政法人)の補助を受けている例が多いようですね。NEDOの補助事業の活用は選択肢に入ってくるでしょう。

◆確かにそう。さらに言えば、国土交通省の補助よりもNEDOの方が自由度が大きい面があります。国土交通省の補助は、基本的に事業調査費だから、調査結果を受けて事業を実施する制度になっています。調査の結果がうまくいけばそれでよいが、うまくいくかわからないような開発では、NEDOの事業制度をうまく使うことが有効な手段でしょう。

○NEDOの事業というのは基本的に調査が対象ですか。

◆調査ですね。調査を通じて特許を得た場合にはNEDOとの間で折半になるかも知れませんが。


■次回の座談会は

■今日は、途中で色々外から電話が入って中断されたし、時間もなかったしで、ちょっと話にまとまりがなかった。ので、次回からは重点を絞って議論を進めていきましょう。今日の炭化物の話の中で、下水汚泥は量的にも質的にも中途半端ということがありましたが、やはりある程度広域的にまとまってやらない限り、ビジネスベースに乗らないことは確実でしょう。そこで、国内では部局連携の事例について実情を探ってほしい。例えば、下水道のMICS事業(編注:国交省所管の「汚水処理施設共同整備事業」)でコンポストを作っているけれど、どうもうまく行っていない、といったようなことがあれば、そういった本音のところの情報を収集したい。当社の顧客であれば話も聞きやすいでしょう。

△部局連携というのは、自治体内部の話ですか。自治体同士とか、官民の連携とか色々なパターンがあると思いますが。

■すべてあり、ということで。また、水道の広域連携についても調べを入れてみて下さい。海外の案件や動きについては、引き続き当社の海外子会社を通じて情報を集めていきましょう。

【関連トピックス: 覆面座談会(第三弾):カーボンファイナンスと上下水道経営(その1)


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