プロジェクトトピックス01

水道施設の耐震化に貢献した業務
-水道施設耐震化計画策定業務-
水道施設の耐震化に貢献した業務

本業務の意義

水道施設は、市民生活や社会経済活動に不可欠の重要なライフラインとなっています。このため、地震などの自然災害の非常事態においても、基幹的な水道施設の安全性の確保や重要施設等への給水の確保、さらに被災した場合でも速やかに復旧できる体制の確保等が必要とされています。

一方、水道施設の耐震化の進捗状況をみると、平成27年度末現在、基幹的管路施設の耐震適合性のある管の割合は約37.2%、浄水場の耐震化率は約25.8%であり、まだまだ地震に対する備えが十分とはいえない状況です。
このような現状のなかで、NJSは、静岡県内のある事業体から、水道施設の耐震化を進めるための計画策定業務を受注いたしました。

施設の耐震化は、計画的・効率的に推進する必要があります。このため、本業務では、水道施設の被害想定を踏まえて耐震化目標を設定し、水道施設の耐震化と応急対策を検討し、耐震化の事業計画を策定しました。 なお、本業務では、断水訓練等の住民参加によるソフト面の対策にも参画・寄与し、水道事業者と一体となった取組みも行っています。本業務の概要を以下に紹介します。

図-1 浸水対策の課題とNJSの取組み
図-1耐震化計画策定のフロー

水道施設の被害想定

静岡県の地震被害想定では、複数の地震を対象として検討されていますが、本計画では、地震・津波による被害が最も大きくなる南海トラフ地震の基本ケースを対象地震動としました。図-1に想定地震動分布(震度)を示しますが、対象事業体では市域の約40%が震度6強~震度7になると想定されています。

浄水場や配水池は40%弱の施設が耐震性を確保していないと判定されました。管路は市内全体で1,500件以上の被害が発生すると予測されました。

沿岸部では津波により最大浸水深10m以上の地区が発生すると予測されており、浸水エリアに設置されている水管橋は津波により流出等が発生する危険性が高いと判断されました。

  • 図-2想定地震動分布(南海トラフ地震)
    図-2想定地震動分布(南海トラフ地震)
  • 図-3津波浸水予測と水管橋位置
    図-3津波浸水予測と水管橋位置

耐震化の目標設定、地震対策の検討

耐震化の目標値としては、耐震化の現状や計画期間において実施できる耐震化整備量と、地震被災時における水道の応急給水可能量を設定しました。

応急給水可能量は、地震発生から段階的に給水量を増加させて、1カ月以内に通常の給水量を確保することを目標とした数値を設定しました。

地震対策としては、浄水場・配水池、基幹管路・重要給水管路等の耐震化の実施とともに、耐震性貯水槽の設置による応急給水拠点の整備等を実施する計画も検討しました。

表-1応急給水の目標設定(例)
地震発生
からの日数
目標水量 用途 住民の水の
運搬距離
主な給水方法
発生~3日

3L/人・日

生命維持のための最小限必要量

概ね1km以内

  • 飲料水兼用耐震性貯水槽
  • 可搬式給水タンク
4日~10日

20L/人・日

飲料、水洗トイレ、洗面等

概ね250m以内

  • 配水幹線付近の仮設給水栓
  • 運搬給水
11日~21日

100L/人・日

浴用、炊事、洗濯等

概ね100m以内

  • 配水支線上の仮設給水栓
22日~30日
(応急復旧完了)

250L/人・日

通常給水量

概ね10m以内

  • 仮配管による各戸給水

耐震化計画の策定

耐震化計画の策定においては、地震対策の優先度や範囲を検討し、既往の更新計画等の他計画との統合を図った施設計画とし、他計画とも整合が図れた計画的・効率的な耐震化事業のスケジュールを策定しました。

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